研究概要 |
p-ニトロアニリン(pNA)と種々の酸との複合体を合成し、そのSHG活性を検討した。pNA・プロトン酸複合体では元素分析値は計算値とよく一致した。また、それらの試料のIRスペクトルにもνNH_3^+のブロードな吸収、及び一級アミンの酸付加物に特有な吸収が観測され、pNAが酸と複合体を形成していることがわかった。臭化水素酸塩では、SHGが観測されたが、その他の酸複合体では、SHGは観測されなかった。この結果から、SHG活性は、無機酸の陰イオンに依存することがわかった。複合体の結晶構造は、プロトンの対アニオンにより大きく異なっていた。SHG活性な臭化水素酸塩は、Z=16で、斜方晶系、極性構造の空間群Fdd2をとる。一方、SHG不活性な塩酸塩の結晶は、中心対称性を持つP2_1/nであり、隣接するpNA・H^+分子が互いに逆向きに配列しているので、SHG不活性となる。一方、硝酸塩の結晶は、中心対称構造であるP2_1/n、あるいは、非対称中心構造を持つPnである。空間群がPnの場合でもpNA・H^+分子が、b軸に沿って、交互に逆方向を向いているため、SHG不活性であることがわかった。 さらに固体酸酸化物に、pNAを担持し、そのSHG活性について検討した。モンモリロナイト,Y型,X型,モルデナイトのゼオライトではSHGは観測されなかった。一方、アルミナ、シリカを担体とするとSHG活性となることがわかった。例えば、pNA(17wt%)/Al_2O_3,pNA(9wt%)/SiO_2ではSHG強度が平均でそれぞれ0.3及び0.1となった。 また、大気中の低濃度CO_2センサについても予備的検討を行い、CaO-In_2O_3が優れていることを見い出した。
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