平成4年度の研究結果から次のことが明かとなった。ポリリン酸アンモニウム(NH_4PO_3)の部分熱分解によって作製した(NH^4PO_<3_<HPO_3)混合体はプロトン導電性を示したが、300℃以下の比較的低温で溶融した。そこで、Siを含んだ(NH^4)_2SiP_4O_<13>を同様の部分熱分解処理したところ、400℃以上で固体状態を保持できるプロトン導電性固体電解質が得られた。しかしながら導電率はNH_4PO_3から得られた物よりかなり低いことが分かった。そこで高い融点と高い導率を両立させるため、本年電度は(NH_4)_2SiP>4>O_<13>を骨格構造としNH_4PO_3を導電成分として含む固体電解質の作製を目指すことにした。 まず、溶融したNH^4PO^3にSiO_2・3H_2Oを加えてよく撹拌した。得られた溶融物を直径15mmのステンレス製シリンダーに流し込むことによって固化成形した。得られたペレットは表面が吸湿性のため、これをなくするために、NH┣D23┣D2ガス気流中で加熱処理して表面をNH┣D24┫D2PO┣D23┫D2として安定化させた。ペレット両面にPt黒電極を焼き付け、水素気流中で直流伝導率を測定した。400℃で最高値が得られ、その値は0.1S/cmであった。400℃以上に加熱すると、いったん生成したHPO┣D23┫D2が脱水してP┣D22┫D2O┣D25┫D2になるため、伝導率は減少した。プロトン伝導性をあることで確かめるため、この電解質を電池に組み、起電力をネルンスト式から得られる理論値と比較したところ、ほぼよい一致が得られた。これは、この固体電解質がプロトン導電性であることを示すものである。
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