1 担持金属酸化物触媒のキャラクタリゼーション 前遷移周期金属酸化物のX線吸収法による高分散性、構造を調べた。シリカ担持バナジウム、ニオビウム酸化物のXANESスペクトルのプリエッジピークが調製法によって異なることが分かった。標品による解析より、VO(OPr)_3からCVD法で調製したV_2O_5やシュウ酸バナジル水溶液から含浸法で調製した低担持V_2O_5およびNb(OEt)_5から含浸法で調製した低担持Nb_2O_5が正四面体で高分散していることが見いだした。この高分散性とオレフィンの光触媒活性が関係していることを指摘した。 2 CVD法で調製したTiO_2/SiO_2、TiO_2/Al_2O_3触媒の反応性とキャラクタリゼーション Ti(OPr)_4蒸気と担体の表面OH基を423Kで反応させることによってTi種を担体に固定化し、673Kで加熱処理することによってTiO_2/SiO_2、TiO_2/Al_2O_3を得た。これらが77Kで発光(リン光を発光)し、前者は振動準位を示し、0→1振動がTi-Oの伸縮振動に相当することを見いだした。X線吸収法による解析ではバナジウム、ニオビウムと同様にプリエッジピークによって4配位、6配位が区別され、XANES、EXAFSよりTiO_2/SiO_2が正四面体で高分散していること、TiO_2/Al_2O_3は5配位で高分散していることが分かった。1-オクテンのtert-ブチルヒドロパーオキシドによるエポキシ化に対し、TiO_2/SiO_2は高活性を示したが、TiO_2/Al_2O_3は全く活性がなかった。Ti種によるオレフィンのエポキシ化には正四面体種が活性種であると結論した。 3 これらの酸化物触媒の構造と活性を理論的に明らかにするために、密度汎関数法を用いた分子軌道法による解明を検討している。
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