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1992 年度 実績報告書

ラセミ混合物の結晶化過程の解明とクリスタルエンジニアリング

研究課題

研究課題/領域番号 04650751
研究機関東京大学

研究代表者

西郷 和彦  東京大学, 工学部, 助教授 (80016154)

キーワードジアステレオマー塩 / X線結晶構造解析 / 水素結合ネットワーク / らせん状カラム / ラセミ混合物 / 構造相関
研究概要

まず、ラセミ混合物となる塩結晶とジアステレオマー塩との構造的類似性を調べるため、マンデル酸・1-フェニルエチルアミン塩およびマンデル酸・1-(3-メトキシフェニル)エチルアミン塩のX線結晶構造解析を行なった。その結果、いずれの場合にも2分子の酸と2分子のアミンが水素結合してユニットを形成し、さらに別の水素結合によってそのユニットがらせん状のカラムを形成していることが分かった。この水素結合ネットワークは、基本的にラセミ混合物となる酸・塩基塩と全く同じであり、この水素結合ネットワークが塩結晶生成に重要な役割を果していることが強く示唆される。さらに、上述の2つのジアステレオマー塩形成によってそれぞれのアミンが極めて効率よく光学分割できるのは、カラム間にマンデル酸の水酸基と隣接カラム中のマンデル酸のカルボニルとの水素結合があり、これによってより堅固なパッキングが可能であるためと結論した。
次に、ラセミ混合物結晶の構造相関に関して提案した仮説を検証するため、1-フェニルエチルアミン・2-メチル-3-フェニルプロペン酸(α-メチルケイ皮酸)塩を調製したところ、予期したように、この結晶はラセミ混合物であることが分かった。さらに、従前の1-フェニルエチルアミン・ケイ皮酸塩および1-(4-イソプロピルフェニル)エチルアミン・ケイ皮酸塩のX線結晶構造解析結果を参考に構造相関に関する仮説に基づいて、1-フェニルエチルアミンのフェニル基は水素結合ユニット平面の方向を向くと予想した。そこで、この塩のX線結晶構造解析を行なったところ、予想通りの配置をとっていることが明らかとなった。以上の結果は、我々の提案したラセミ混合物結晶の構造相関に関する仮説が妥当であることを示している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] Kenichi Sakai: "Habit Modification of a Diastereomeric Salt with an Additire in Optical Resolution" Bulletin of the Chemical Society of Japan. 65. 1747-1750 (1992)

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公開日: 1994-03-23   更新日: 2016-04-21  

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