研究概要 |
1.β,δ‐ジケト酸の酵母による不斉還元 主鎖に脂肪族二重結合あるいは芳香族環をもつ基質は、とりわけδ位のカルボニル基が位置選択的に還元されることがわかった。脂肪族飽和基では、β位のカルボニル基が還元されたものが10%前後生成するが、不飽和基では、ほとんど生成しないことがわかった。エナンチオ選択性はいずれの場合も完全(>99%ee)である。β-ケト-δ-ラクトンを高光学純度で製取できた。 2.1-クロロ-2,3-アルカンジオンの酵母による不斉還元 この場合には、2位のカルボニル基のみが還元それるが、エナンチオ選択性は10〜50%eeと低く、優勢な立体配置もSあるいはRである。この反応をSrCl_2を2M濃度加えて行うと、生成物中のR配置をもつエナンチオマーの割合が増加する。たとえば、1-クロロ-2,4-オクタンジオンの場合、無添加では30%eeのR配置が、添加により89%eeのR配置へと大幅な向上を示した。収率は約50%でほとんど変化しなかった。Mg^<2+>,Ca^<2+>,K^+、Na^+,Li^+などでも程度の差はあるが、同様にR配置を増加することがわかった。しかし収率は低下した。 3.1-アセトキシ-2,4-アルカンジオンの酵母による不斉還元 この基質は、アルデヒドのオキシムとプロパルギルアセテートの双極付加によって生成するイソオキサゾールをFe/AcOHまたはH_2/Pto_2で還元的に開還し、生成したイミンを加水分解して製取できることがわかった。2位のカルボニル基のみが還元されることがわかったが、その立体配置と光学純度は今後明らかにする予定である。
|