研究概要 |
1.ポリイミド(PI)の一軸延伸技術の中で、ポリアミド酸(PAA)試料を冷間延伸後加熱イミド化する方法は、剛直で直線性のPI(BPDA/PDA)に対して有効であった。しかしこの方法は、PI(BPDA/ODA)のような柔軟なポリイミドには、配向緩和が起こるため不適当である。ポリアミド酸を膨潤延伸する方法は、PI(PMDA/PDA)フィルムで最も成功した。膨潤溶媒として55℃のDMAc/エチレングリコール(3/7または2/8)の混合溶媒を選定して、最大延伸率350%を実現した。これを加熱イミド化後熱処理して、112GPaのPI(PMDA/PDA)を得た。高温延伸法は、柔軟でかつ直線状の伸び切り鎖になるPI(PMDA/3,4'-ODA)に対して最も効果があった。 2.ポリイミドの一軸延伸試料の配向評価法の中で、偏光顕微鏡による複屈折の測定は、剛直なポリイミドに対して有効であるが、主鎖の分子配向を直接的に分離しにくいという問題がある。これに対して、延伸試料中に棒状色素分子を分散させてその吸収二色性を測定する方法を試みた。ペリレンビスイミド分子を用いて、PI(BPDA/PDA)フィルムの配向係数、延伸率および弾性率の相関を定量的に説明することができた。 3.PAA繊維用の新しい紡糸装置を試作した。現在、上述の一軸延伸技術と配向評価法を使い、完全棒状のPI(PMDA/PDA)繊維をつくるための諸条件を検討している。
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