研究課題/領域番号 |
04650832
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
山田 文一郎 大阪市立大学, 工学部, 助教授 (50047198)
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研究分担者 |
松本 章一 大阪市立大学, 工学部, 助手 (00183616)
圓藤 紀代司 大阪市立大学, 工学部, 助教授 (10047409)
青木 修三 大阪市立大学, 工学部, 教授
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キーワード | ラジカル重合 / 生長ラジカル / メタクリル酸メチル / スチレン / 連鎖移動 / 速度定数 / ESR / 重合率 |
研究概要 |
α-ブロモメチルアクリル酸メチル(MBMA)は単独重合せず共重合も行わず、他のモノマーの重合系に少量添加すると付加開裂機構による効果的な連鎖移動を起こし、ω-末端に置換アリル基の結合した低分子量ポリマーが得られる。α-クロロメチルおよびフェノキシメチルアクリル酸メチル(MCMAおよびMPMA)は、重合するが付加開裂反応も起こすため高分子量にはいたらず置換アリル基を末端基とする単独重合体が得られる。MBMAの連鎖移動剤としての有用性を、MMAのベンゼン中での溶液重合で広い重合率範囲にわたって検討した。MBMA不在下での重合では、ゲル効果のため重合速度と生成ポリマーの分子量は重合の進行にともない増加する。少量のMBMAを添加すると重合初期から末期にいたる広い重合率範囲でポリマーの分子量を効果的に低下できるばかりでなく、重合速度ならびにポリマーの分子量がほぼ一定に保たれる。さらに、NMRで定量した不飽和末端基含量もほとんど変化しないことを明かにした。なお、スチレン(St)の重合を少量のMBMA存在下で行うと、初期には分子量の低下したポリ(St)が生成するが、重合の進行にともない分子量分布は高分子量側に広がることを見出した。この傾向は、Stの重合におけるMBMAの連鎖移動定数が約2と大きいため、[MBMA]/[St]が重合の進行にともない低下することおよび不飽和末端基へのポリ(St)ラジカルの付加が原因であることを明らかにした。MBMA、MCMAおよびMPMAへのラジカルの付加反応性は、開裂と生長の速度定数の比ならびにポリ(MMA)とポリ(St)ラジカルの付加反応性比として評価した。MBMAに対しポリ(St)ラジカルはポリ(MMA)ラジカルより約5倍高反応性である。110℃での重合結果より温度上昇による付加開裂の加速が著しく、MCMAやMPMAでも有効な連鎖移動剤となることを見出した。なお、MPMAの重合では生長ラジカルのβ-開裂で生成したフェノキシラジカルがESRで検出された。MBMA、MCMAやMPMAの生長および停止の速度定数(k_pおよびk_t)は決定できなかったが、電子吸引性置換基をもつα-置換メチルアクリル酸メチルとしてα-ベンジルオキシメチルアクリル酸メチルのk_pとk_tを、ESRによる生長ラジカル濃度の決定にもとづき求めたがいずれも置換基の立体障害による低下が認められた。
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