研究概要 |
細胞内容物を取り出すために従来から行われているような、ガラスビーズや超音波を用いて細胞を細かく破砕する機械的方法とは全く異なる新しい方法として、細胞を破壊することなく内容物を放出させることのできるパルス電界印加法を提案し、2年間の実験的検討を行った。その、2年目にあたる本年度(平成5年度)においては新たに次のような結果が得られた。 1、酵母懸濁液から、パルス処理により、機械的破砕法と比較して約30%程度の量のタンパク質が放出され、印加電圧の変化による生残菌数と放出特性との関係を求めた結果、菌を殺さずに内容物のみを放出させることが可能であることがわかった。 2、印加するパルス電界強度の調節によって、菌体の内部より放出される酵素の種類とその放出特性が異なることより、電気的条件の変化のみにより細胞内容物を選択的に放出させることが可能であることがわかった。 3、走査型電子顕微鏡による細胞表面の観察から、パン酵母では、内容物の放出後においても処理前の形状を保っており、細胞壁の損傷の著しいガラスビーズで機械的に破砕したものと比べ、損傷は見られなかった。 なお、以上の結果の一部を、本年度は国際学会[1]ならびに口頭発表[2]を行い、来年度の国際学会[3]にて発表の予定である。 [1]6th International Congress on Engineering and Food(1993,at Makuhari);[2]日本生物工学会平成5年度大会(1993);[3]Annual Meeting on Electrostatics of America(1994,at Stanford University)
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