研究概要 |
イネとマメ科3草種,ダイズ,バーズフット・トレフォイル及びアルファルファの科間及び属間の5組合せの細胞融合を行った。それら細胞融合雑種カルスのうち3組は科間雑種のカルス,イネ(系統A-58)とバーズフット・トレフォイル(品種Viking),イネとダイズ(品種Hurosy)及びイネとアルファルファ(品種Dupuit)と,2組の属間雑種カルス,ダイズとバーズフット・トレフォイル及びバーズフット・トレフォイルとアルファルファのミトコンドリアDNAのサザンブロット解析を行った。なお,抽出したDNAは3種から6種の制限酵素で消化し,プローブとしてミトコンドリア遺伝子,atpA,rrn26及びCox1を用いた。その結果,雑種カルスのミトコンドリアDNAはイネとアルファルファの雑種カルスは両親の断片の混在や新たな断片の出現が認められたが,その他の組合せではミトコンドリアDNAが何らかの改変を受けていたとしても,どちらか一方の親に近いタイプのものが残る傾向であった。すなわち,科間雑種のカルスの場合は,バーズフット・トレフォイル,ダイズ等のマメ科の親,属間雑種のカルスの場合はバーズフット・トレフォイルに近いタイプであった。一方,これら雑種カルスの染色体の構成は,継代培養の初期において,3組の科間雑種カルスの場合マメ科の親の染色体中に数本のイネ染色体が存在すること,2組の雑種カルスではバーズフット・トレフォイル染色体中に他方の親の染色体が数本存在することが確認されたが,継代を重ねるにつれてその小数染色体は消失する傾向であった。これらのことから調査した雑種カルスのミトコンドリアDNAは核の残存の優位な親のタイプに近いものが残ることが示された。葉色体DNAも同様,核親と同じものが残ることが明らかになった。
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