研究課題/領域番号 |
04660005
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
武田 和義 岡山大学, 資源生物科学研究所, 教授 (90003516)
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研究分担者 |
佐藤 和広 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (60215770)
部田 英雄 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助教授 (40033112)
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キーワード | ムギ / 耐病性 / 赤かび病 / 寄生・病原関係 |
研究概要 |
〈実験1〉ムギ類赤かび病菌と宿主の間に特異性が分化しているかどうかを検討するために、赤かび病菌52菌株をオオムギ4品種(ヤトミモチ、キカイハダカ、赤神力および米沢モチ)とコムギ2品種(ミナミノコムギおよびシラサギコムギ)に‘切り穂法'で接種して罹病粒歩合(オオムギ)および罹病小穂歩合(コムギ)を調査し、各種の統計処理を行った。〈実験2〉同じく赤かび病菌12菌株をオオムギ10品種とコムギ10品種に‘切り穂法'で接種し、実験1と同様の解析を行った。 実験1と前年に行った実験の間で罹病粒(小穂)歩合の年次間相関を算出すると0.6程度で再現性は高かった。 分散分析によると、オオムギおよびコムギの種内における品種変異と菌株の交互作用は小さいが、オオムギとコムギの種間変異と菌株との交互作用は統計的に無視できない程度に大きく、相対的にオオムギを強く犯す菌とコムギを強く犯す菌が存在した。 主成分分析によると第1主成分にはそれぞれの菌株の一般的な病原力の強さが示され、第2主成分にはオオムギを強く犯すか、コムギを強く犯すかの変異が示された。第2主成分のスコアの年次間相関は0.8と高く、安定して発現していた。第1主成分の分散は第2主成分の分散の15〜17倍あり、オオムギとコムギに対する種特異性の変異は相対的に小さかった。 従って、ムギ類赤かび病においてはオオムギおよびコムギの種内品種間ではもちろん、オオムギとコムギという種のレベルにおいても菌株との組合せによって抵抗性と罹病性が逆転するような宿主と病原間の特異性は無いものと考えられる。
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