研究概要 |
種子休眠は 高等植物の種子で共通してみられる現象だが、コムギ種子の休眠には、種子胚の発芽抑制ホルモン、アブサイシン酸(ABA)に対する感受性が関係していることを明らかにしてきた。もう一つの要因である種子内のABA量は、コムギ系統間であまり調査されていない。今回、休眠性の異なるコムギ14系統(伊賀筑後オレゴン,Chinese Spring,Zenith,Waikei l,赤銹不知,Tordo,Lancer,Satanta,Lewis,RL4137,Etore Clong,Br.6325×Prins,U67635,Klliber)の種子内のABA量をELISA法で測定した。胚内のABA量は、系統間で大きな違いがあった。しかし。胚内のABA量と種子休眠性の強弱は、相関していなかった。また、胚以外の部分(主に胚乳)では、ABA量に変異がみられなかった。以上の結果は、種子の休眠性が胚のABA感受性と強く関係していることを、更に明らかにした。 発芽時、糊粉層より分泌されるα-amylaseの合成は、植物ホルモンのジベレリン(GA)とアブサイシン酸(ABA)により制御されることは、よく知られている。種子胚より分泌されるα-amylaseと種子胚のABA感受性との関係を調べた。種子胚でのα-amylase活性は、胚のABA感受性と無関係であることを明らかにした。
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