研究概要 |
穂発芽抵抗性系統、北系-1354,Tordo,RL4137、穂発芽感受性系統、チホクコムギ,Chinese Springの受精後30日(DHP30),40日(DAP40),50日(PAP50)の種子を採集し、発達段階の異なる種子の胚、胚乳部のalpha-amylase活性、GA処理したときのalpha-amylase活性を測定した。また、種子休眠を打破し、穂発芽を誘導する低温処理したときの胚、胚乳でのalpha-amylase活性の変化を調べた。 今年度は、種子の発達過程に伴い、糊粉層は次第にGA刺激に反応するように変化すること、また品種間でこの感受性の上昇に違いがあることを明らかにした。種子発達と共に糊粉層内でGA感受性に関する因子が急速に増加し、この因子がalpha-amylase活性の増加の主要因となっていると思われる。一方、胚では、種子が成熟するに従いalpha-amylase合成が低下した。このことは、胚からのデンプン性胚乳へのalpha-amylaseの寄与は少ないことを示唆した。低温吸水処理は(5℃48h)は、いずれの発達段階の種子胚、胚乳のGA感受性も変化させなかった。あるコムギ系統(RL4137)の発達段階の糊粉層では、GAの処理なしに吸水だけでalpha-amylase活性が増加した。このGA刺激なしにalpha-amylase合成が上昇する現象は、比較的高いGA感受性をもっている糊粉層に見られた。ジベレリン非感受性とされている突然変異体の糊粉層では、GA感受性は低かった。しかし、種子発達を通じ正常コムギと同様に、種子が成熟すると共にその感受性は高まった。この突然変異体は、GAに非感受性でなく感受性を低下させている受異体である。多分、GAシグナルを受ける機構に部分的な欠陥があると思われる。
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