研究概要 |
ダイズの収量に及ぼす栽植密度の影響を,1992年と1993年に花房次位・着生位置に着目して検討を行った(品種 タチスズナリ).栽植密度を水準とし,1992年及び93年の6月下旬に播種した. 密植により植物単位数は増加し,粒茎比は減少した.最大LAI及びLADは密植により増加し,各区とも93年が高かった.開花数は密植により増加したが,93年の区間の相違は小さかった.結莢率は密植により低下し,その程度は93年で著しかった.莢数は密植により増加したが,93年の区間の相違は92年に比べて小さかった.莢数は,両年とも密植により低次位では1次が,高次位では2次椏枝が最も増加した.着生位置別にみると,密植によって主茎では上部の莢が著しく増加し,分枝では下部の莢が減少した.一莢粒数は密植によって減少し,各区とも93年が低かった.百粒重は密植によって92年は増加したのに対し93年は減少し,各区とも93年が大きかった.次位別にみると,92年の百粒重は高次位が大きく,93年は低次位が大きくなり,着生位置別にみると,両年ともに主茎が分枝に比べて大きかった.収量は密植により増加したが,93年はその程度が小さかった.これには93年は密植区の結莢率が低く莢数の増加が小さいこと,及び疎植区の百粒重が大きいことが影響していた.〔一花器当たり葉面積〕の推移をみると92年は区間の相違が小さく,登熟期間を通じて増加していたが,93年は疎植区が著しく高く,全体に一定の値を保っていた.以上の結果より,密植による収量の増大と年次間の相違には主として莢数が関係し,これには花房次位別・着生位置別着莢相の変動が影響することが明らかとなった.また,莢数・百粒重の決定には,ソース・シンク比が関与することが示唆された.
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