室温、密閉容器(塊状生石灰乾燥剤として使用)の低湿条件で、莢付きのまま保存された落花生種子(莢付き種子と呼ぶ)が品種により20数年も80%以上の発芽力を維持していることを初めて見いだした(予報として発表、日作四支紀事27号、1990年)。この結果は種子の貯蔵法についても示唆を与えるものと考えられるが、落花生の莢つき種子の発芽力一寿命に関する基礎的研究はわが国内外で極く少ない。 1.第1年度の研究成果:(1)延47品種の長期貯蔵莢付き種子の発芽力(追試):亜種fastigiataの品種が亜種hypogaeaの品種よりも莢付き種子の寿命が長いという傾向が再確認され、果皮の厚さと構造、莢果と種子および莢室の容積とそのガス組成や、莢果内外の水分移動などとの関連が示唆された。(2)-(1)種子調製の省力化技術としての半莢種子(莢果の中央くびれ部で2つに折った莢つき種子)利用栽培法の確立。本研究代表者が1981年にICRISATから導入し、以来その茎葉利用について研究を行っている極小粒・極早生品種Chicoを用いた撒播・超密植(100粒/m^2)栽培試験。(2)-(2)同。品種Chicoと大粒品種ナカテユタカを用いた、半莢、全莢(無処理)、莢果縫合線部に加圧して割れ目を入れた加圧莢、および剥実の4処理種子による普通栽培試験。(2)-(1)、(2)の出芽経過と出芽率、生育、乾物分配、収量構成要素解析、子実収量などについて得られた結果から、半莢種子法は省力技術として利用できることがほぼ実証出来た(第2年度に成果を発表の予定)。 2.第2年度研究予定:(1)莢付き種子の出芽と水分吸収経過:莢果の水分吸収における果皮の阻害および吸水調節機能(追試、1993年に予報発表予定)。(2)ストレーンゲージによる莢果の出芽過程の動的様相の研究。(3)果皮の物理的、形態的特性の研究。(4)研究成果の取纏めと成果発表(1994年)。
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