本研究は、わが国において真に楽しめる都市レクリエーションの活動形態の特質と、それを支える都市レクリエーション空間の在り方を明らかにすることを目的とする。初年度には、近世後期における名所や盛り場など都市レクリエーション地での活動内容や空間形態に関して調査・考察を行った。また次年度においては、遊園地、博覧会、盛り場(代表としての浅草公園)の3者を対象に、近代、特に明治から昭和初期における都市型レクリエーション空間や活動の変遷プロセスとその特徴について調査を行った。注目すべき内容として、下記の点が特記される。 1.レクリエーション空間の構成 ・水系との関連性が大変深く、全ての対象地で、何等かの関わりが見られる。具体的なレクリエーション活動の場や素材とする他、アプローチ(空間面、活動面)の演出、場のイメージ形成の要素などの面でも重要な位置づけがなされていた。 ・レクリエーション活動自身が未分化な状態であり、付帯する諸活動をも含めて、複合的に「時間」を楽しむ演出がなされていた。行楽的要素として、「休み茶屋」「料理茶屋」が付帯し、都市化(市街化)の進展した地区では、遊興要素としての「岡場所」「見世物」が、「名所」や「宗教空間」と一体的に形成されていた。 2.レクリエーション活動の変遷(娯楽形態の変遷) ・興行・装置の分析を通し、6タイプ、16種類の娯楽形態を抽出した。 ・近代以降の娯楽形態は、「楽しみ方」の面では単純なものからより高度化してゆく傾向にあり、「楽しみ方」の面では複合的なものからより分化する傾向にあることが明らかとなった。この(単純+複合)から(高度+単一)へのベクトルは、参加型で主体的に楽しむ娯楽から受動的な娯楽への変化とみることができる。
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