研究概要 |
プロトプラストの単離に関わる酸素処理条件について検索した。その結果,使用酸素はセルラーゼオノヅカRSおよびペクトリアーゼY-23の組み合わせが最も良く,セルラーゼオノヅカの濃度はワサビでは2.0%,ワサビダイコンでは1.5%,また,ペクトリアーゼの濃度は両種とも0.2%が最適条件であった。プロトプラストを得るための外植体は無菌的に培養した茎頂由来の展開葉が細胞の活性も高く,また,再現性もあり,材料として好適であると判断された。細胞融合には,PEG法と電気融合法の両手法について検討した。その結果,PEG法は融合率が20%と高く,一方,電気融合法では10%とPEG法に比べ低くなったが,PEG法は操作が煩雑で熟練を要することと,以後のコロニー形成が順調に進行しないなどの点から,今後は電気融合法による体細胞雑種の作出を進めていく。電気融合は島津製作所製の電気細胞融合装置SSH-2によったが,電気的諸条件の検索の結果,25〜35V VAC,35sec.IT,29OV VDC 85μsec.PWが融合の最適条件であることが確認された。融合後の培養は当研究室で考案した改変MS固形培地に細胞懸濁液を滴下する方法が最も良いと考えられた。コロニー形成は外植体の由来に最も大きく影響されたが,茎頂培養由来の展開葉が最も良く,しかも,再現性も高かった。コロニー形成のための培養条件は,暗黒下,15℃,1週間培養後,1000lx.条件下で培養するのがよいと判断された。また,培養期間中浸透圧調整のため,毎日改変MS培養液を滴下しないと,細胞の凝縮がみられた。今後は培養系材料の大量増殖と,コロニーからカルス形成にいたる培養条件の検索を行う。
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