電気細胞融合法によりワサビとワサビダイコンの非対称融合属間雑種の作出を試みた。Percollによる不連続密度勾配遠心法により脱核処理を行い、比較的活性の高いミニプロトプラストとサイトプラストを分離した。しかし、脱核されずに残ったプロトプラストが多く存在し、サブプロトプラストの分画も不完全であった。分画が不完全ながらそれぞれ正逆のプロトプラストとミニプロトプラストの融合による核移入、ミニプロトプラストとサイトプラストの融合による核置換およびプロトプラストとサイトプラストの融合による細胞質移入を行った。その結果、プロトプラストとサイトプラストの融合によ細胞質移入はスムーズに行われたが、ミニプロトプラストが泳動しにくく、また、プロトプラストやサイトプラストとの融合も起こりにくいことから、電気細胞融合法では核移入と核置換は困難であった。非対称融合細胞からコロニーを誘導するため、液体培養とアルギン酸ゲルによるビーズ培養を行った。液体培養では融合細胞の破裂が目立ったのに対して、ビーズ培養では培養から3週間後でも状態の良い融合細胞が多く存在した。今後は分裂からコロニー形成を誘導する培養条件を検索する。
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