ワサビとワサビダイコンの対称及び非対称融合を電気細胞融合法により行った。材料とする成葉は両種とも無菌的に培養した植物体より得た。対称融合においてはパルス印加数を3ないし4回に増やすことで融合細胞形成率を17%に引き上げることができ、さらに、比較的生存能力が高いとされる2核融合細胞形成率も8%に向上させることができた。非対称融合ではPercollによる不連続密度勾配遠心法により脱核処理を行い、比較的活性の高いミニプロトプラストとサイトプラストを分離した。しかし、脱核されずに残ったプロトプラストが多く存在し、サイトプラストの分画も不完全であった。分画が不完全ながらそれぞれ正逆のプロトプラストとミニプロトプラストの融合による核移入、ミニプロトプラストとサイトプラストの融合による核置換およびプロトプラストとサイトプラストの融合による細胞質移入を行った。その結果、プロトプラストとサイトプラストの融合による細胞質移入はスムーズに行われたが、ミニプロトプラストが泳動しにくく、また、プロトプラストとサイトプラストとの融合も起こりにくいことから、電気細胞融合法では核移入と核置換は困難であった。非対称融合細胞からコロニーを誘導するため、液体培養とアルギン酸ゲルによるビーズ培養を行った。液体培養では融合細胞の破裂が目立ったのに対して、ビーズ培養では培養から3週間後でも状態の良い融合細胞が多く存在した。今後は分裂からコロニー形成を誘導する培養条件を検索する。
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