研究課題/領域番号 |
04660028
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
縄田 栄治 京都大学, 農学部, 助教授 (30144348)
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研究分担者 |
伊谷 樹一 宇都宮大学, 農学部, 助手 (20232382)
矢澤 進 京都大学, 農学部, 教授 (90026550)
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キーワード | 熱帯野菜 / 伝播 / 生態的特性 / 生化学的特性 / 種子タンパク |
研究概要 |
本年度は、熱帯野菜のうち主としてササゲとトウガラシについて調査・研究を行った。ササゲについては、沖縄県・鹿児島県において現地調査を行い、収集した在来品種の生化学的特性に関する分析を行った。沖縄県・鹿児島県とも、調査時期には若莢を利用するナガササゲの栽培があまり認められず、子実を利用するハタササゲが多く栽培されていた。ハタササゲの殆どはアズキと称されており、収穫時期と種皮色を異にするいくつかの在来品種が成立していた。これらの在来品種は食用のほか儀礼用にも用いられており、用途による品種分化が見られた。SDS-PAGE電気泳動により、現地調査で収集した在来品種を含む、日本・東南アジアのササゲ、約300品種の種子タンパク分析を行った。その結果、日本に分布するササゲは比較的バンドパターンの変異が小さく、これに対してタイ・インドネシアの在来品種はバンドパターンの変異が大きかった。一方、ナガササゲとハタササゲの間には顕著な差異が認められず、両者が遺伝的に極めて近縁であることが示唆された。トウガラシについては、主としてC.frutescensに着目して沖縄県で現地調査を行った。沖縄県では日本で唯一C.frutescensが栽培されており、今回の現地調査でも幾つかの在来品種を観察収集した。宮古島で採集したC.frutescensには、CMV抵抗性の無病微側枝を発生しているものがあった。また、収集品種を含む日本・東南アジアのC.frutescens125品種及びC.annuum20品種のSDS-PAGE電気泳動による種子タンパク分析の結果、C.frutescensの沖縄県在来品種の成立には、C.annuumとの交雑が関与していることが示唆された。ササゲ・トウガラシとも、熱帯地域の在来品種群との類縁関係については、収集品種の形態的・生態的特性の調査の後、詳細な検討を加えることとする。
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