研究概要 |
ボタンは中国原産で、1500年の栽培の歴史がある.昭和末から平成にかけてボタン生産者(主に新潟県)および島根県八束町は多くの品種を導入し日本品種との交配も試みようとしている.その場合,花粉の発芽能力や発芽適温を知っておくことは重要である.細木らはすでに日本品種の発芽適温を調べており10〜20℃の間に適温があることを認めている.そこで中国品種4種,邦寧紫,大胡紅,蘭田玉,紫蘭魁を用い花粉の発芽適温について調べた. 花粉発芽床は0.8%寒天に10%しょ糖を加えたものとし、シャーレ内で発芽させた(4品種供試).温度は10,15および20℃とした.花粉をまいてから4時間後検鏡(X100,3視野)し,発芽率を求めた. 全体として発芽率は低かったが,どの品種も15℃で発芽率がもっ とも高かった.10℃と20℃では低い発芽率となった.中国ボタンの開花期は松江で4月下旬でありその頃の平均気温は15℃である.日本品種には15℃に適温がある品種だけでなく,10℃に適温がある品種もあったが,今回の調査では供試品種が少なかったせいか,その点は明らかでなかった. 中国品種は日本品種にくらべ春季の発芽が早く開花も早いので花粉を貯蔵できる.そこで中国品種の数種を花粉親として日本の品種に交配したところ,組み合わせにより種子ができ発芽も可能であった.今後は,中国ボタンの特徴である盛り上がり咲きや矮正の因子を日本品種に導入することが望まれる.
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