研究概要 |
1.ボタンの多様な育種目標に必要な基礎資料を得るために花および茎葉の形態的特徴を用いて主成分分析及びクラスター分析を行った。その結果第1主成分は花茎長や葉長と相関が高かった。クラスター分析の結果6品種群に分かれた。花大臣と鎌田藤の交配種である群芽殿は、それらの2品種と同じ群に属した。同様に花競の実生である八束獅子は花競と同じ群に属した。種間雑種である金閣などの黄色品種は明らかに他の品種群と区別された。中国育生の明治の誉は他の日本品種と区別できた。2.12月下旬および上旬のボタンの切花生産が試みられた。大きな肥大根をもつ4年生株は2年生株より収穫本数が増した。12月上旬の開花は、寒ボタンを短期冷蔵促成することで可能となった。3.ボタンとシャクヤクの花の色素を分析したところ、ペオニジン3グルコシド、ペオニジン3,5グルコシド、シアニジン3グルコシド、シアニジン3,5グルコシド、ペラルゴニジン3グルコシド、ペラルゴニジン3,5グルコシドの6種類が同定できた。色の濃い品種は種類も多かった。また、フラボンとフラボノールの分析を行ったところシャクヤクではパターンの違いによる品種分類が可能であった。4.ボタンの萌芽を調べたところ日本種では5月1日〜5日に集中しており、中国種では4月下旬に萌芽した。5.ボタンの花粉の発芽適温について調べたところ15°Cがもっともよく。15°Cや10°Cでは低かった。中国種と日本種では大きな差はなかった。6.ボタンとシャクヤクの交配を3年間行ったが、種子はまったく得られず両者の間には遺伝的差異が見られた。
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