研究概要 |
クスノキ(香川大学農学部2個体),ユリノキ(香川大学農学部,丸亀駅前広場,公渕森林公園各1個体),ソメイヨシノ(香川大学農学部,公渕森林公園各1個体)およびケヤキ(香川大学農学部1個体,公渕森林公園2個体)を調査対象木として,携帯用光合成蒸散測定装置(LI‐6200,LI‐COR社)を用い,月に1〜2回の割合で光合成速度および蒸散速度の測定を行った。 クスノキの葉は4月中〜下旬に展開した後,6〜8週間かかって成熟し,6〜10月の間ほぼ10〜15μmol/m^2/s飽和光合成速度を示した。大部分の葉は4月に新葉と交代して落葉したが,一部の葉は落葉せずに残り,秋まで当年葉の約1/2の飽和光合成速度を示した。光合成速度の日変化曲線から1日あたりの光合成量を求めると,6〜10月の間の当年葉の日光合成量は約10gCO_2/m^2となった。現在,年間光合成量の推定を行うべく解析を進めているところである。 ユリノキ,ソメイヨシノ,ケヤキの落葉樹は常緑のクスノキに比ベると葉の成熟が早く,いずれも新葉展開後4〜6週間で飽和光合成速度はピークに達し,秋までその能力を維持することが認められた。ただし,乾燥の影響はクスノキよりも大きく,4〜5日の無降雨でも光合成速度は大きく落ち込んだ。土壌断面調査を行った結果,根系発達の不良な個体ほど乾燥の影響が大きいことが認められた。丸亀駅前のユリノキは地下駐車場の上の人工地盤に植栽されているため地下水の供給がないことおよび周囲が全面舗装されているため降雨の土壌中への浸透が期待できないために,潅水管理に大きく影響を受けていることが認められた。今後,乾燥の影響のさらに詳しい解析および年間光合成量の推定を行い,これらの各樹種のC固定機能を明らかにしていきたいと考えている。
|