研究概要 |
1.緑化樹の葉の気孔分布について 瀬戸内地域で多用されている緑化樹22種を対象にスンプ法により気孔分布の測定を行った結果,22種全てが裏面のみに気孔のある裏面気孔植物であることが確認された。また,土壌水分条件の違いが気孔分布に現れる樹種(ユリノキ,ケヤキ)と現れない樹種(シャリンバイ,トベラ)がみられた。はっきり確認できなかった樹種もあるが,この研究をさらに進めることによって,乾燥に対する樹種特性を明らかにできるものと考える。 2.ユリノキの光合成・蒸散特性について 前年度に続き,香川大学農学部,公渕森林公園および丸亀駅前広場に植栽されているユリノキを対象に光合成・蒸散速度の測定を行った。丸亀調査木は地下駐車場の上の人工地盤に植栽されたものであり,また,周囲が全面的に舗装されているため,乾燥条件になりがちであり,前年度はかなり低く,不安定な光合成速度であったが,本年度は管理者にきめ細かな潅水管理を行ってもらったところ,他の調査木と同等の光合成速度を示した。 3.クスノキの光合成・蒸散特性について 前年度は現地調査を主体に研究を行ったが,今年度はポット苗を用い,土壌水分条件と光合成・蒸散速度の関係について実験的研究を行った。土壌水分張力が毛管連絡切断点(-0.06MP_a)以下になると光合成速度は低下し始め,永久しおれ点(-1.5MP_a)に達した後,葉内水分張力が-2.0MP_a前後に達した段階で光合成おおよび呼吸を停止した。土壌水分-植物体内水分と光合成・蒸散の関係については平成6年度以降も研究を進めていきたいと考えている。
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