イエシロアリの巣を細かく粉砕し各種の溶媒で抽出を行った結果クロロホルム抽出物に強い定着活性が認められた。ついで溶媒留去後シリカゲルカラムクロマトグラフにかけ精製をおこなったところ、活性は15%ヘキサン/酢酸エチル溶出画分に認められた。さらにこの画分について細かく分画を行い、最も強い活性の認められた画分をGC/MS分析に供した。その結果コレスタノール、β-シトステロールなどのステロイドアルコール類とそれぞれに対応するステロイドケトンであるコレスタノンおよびシトスタノンの存在が明かとなった。そこでステロイドケトン類については対応するアルコール類を酸化することにより調製し、同定されたステロイド類を含む関連化合物を生物検定に供した。生物検定の結果コレスタノールとシトスタノンに巣抽出物と同じ程度の強い活性が認められた。従ってイエシロアリのその巣に対する定着性はこの両化合物によって引き起こされていることが明かとなった。またさらにシロアリ自身の腹部抽出物にも同じ程度の活性が認められたため、その活性本体の精製、単離をおこないコレステロールとステアリン酸を同定した。しかし誘因因子については現在のところ不明である。
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