研究概要 |
とりまとめの最終年度である本年度は、前年度に引き続いて養蚕トップ農家を中心にして,主に個別農家を調査対象として,経営管理の実態解明に追った。県別では,福島,栃木,千葉の養蚕トップ農家を調査分析し、以下の結果を得た。労働力条件は3〜4人の構成であり,つまり二世代の構成で,恵まれた内容であった。当該農家の場合、共通的性格として養蚕部門に限らず,複合部門である稲作,野菜,肉用牛部門のいずれの部門にも意欲的に取組み,農業専業経営として,かつ地域の農家リーダーとして活躍が見られた。また経営耕地の大きさ、農業機械や建物への積極的投資も伴っており、経営規模および農家規模の大きい経営であった。農業技術の点では,新技術への取組みも見られ,一部は機械化体系への志向を強めていた。農業生産は養蚕部門を柱としながらも他部門との連携をつよめ、粗収益額では約一千万円に近い収入となっていた。なお、養蚕の場合、繭価の低迷が主な原因となって,生産規模の縮小が見られ,他方野菜部門への転換が強まる傾向となっていた。生産性の点からは,意欲的な経営への取組みの反映として,地域の平均を上回る結果となっていた。とくに養蚕部門では相対的に高い単収を発揮しており,これは当該農家の経営主による生産管理の充実を推察しうる。 要するに、本年度の調査結果からは、経営主が経営管理の担い手であるが,なお生産から販売管理まで経営主の判断に依拠していた。
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