研究課題/領域番号 |
04660065
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
我妻 忠雄 山形大学, 農学部, 助教授 (70007079)
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研究分担者 |
阿部 利徳 山形大学, 農学部, 助教授 (80202670)
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キーワード | アルミニウム耐性 / 原形質膜 / プロトプラスト / グルカン / 有機酸放出 / ランタン / イツテルビウム / シリカマイクロビーズ |
研究概要 |
根伸長過程で作動するAl過剰害は(1)根端細胞分裂阻害、(2)根伸長阻害の両面から解析される必要がある。しかし、他及び本研究結果から、Alは根端・外側表面から高濃度に集積することが明らかとなった。それゆえ、前述の(1)(2)は根細胞自体にとっては同一の害作用を意味する可能性があると推定される。従って、細胞レベルでは根端細胞は何故Alを集積するかという点に問題が整理される。Alイオンの細胞への取り込み機構や細胞内の局在性を支配するのはイオンポテンシャル(IP)と予想されるので、Alイオンの特異的反応座を明らかにするために、同じ三価陽イオンでIPがAl^<3+>>Yb^<3+>>La^<3+>であることを利用した。その結果、根精製プロトプラスト表面でのグルカン合成量はAl》Yb>Laで、Al耐性種は原形質膜上に均一に分布するが、Al感受性種は不均一に島状に分布する。このグルカンにはβ-1、3結合が含まれ、FDA viabilityはAl>Yb>Laで、グルカン非合成条件下でのプロトプラスト凝集性はAl>Yb>Laであった。それゆえ、Alは原形質膜に特異的に結合し、そのため原形質膜上に存在するGSIIを活性化させβ-1、3-グルカン量を増大させるが、Al感受性種は膜自体の損傷が著しいためにグルカン合成が抑えられる。グルカン非合成条件下での凝集性の結果もAlの原形質膜との強い結合を支持している。一方、別の実験から、Al耐性種ほど根端プロトプラスト負荷電量が少なかった。そこで、無毒なAl(OH)_3でコートし正に帯電させたシリカマイクロビーズ(SMB)を反応させた結果、Al耐性種から得たプロトプラストほど密度勾配遠心によって底部に多数集められた。Al害やAl耐性細胞は原形質膜へのAl吸着性に起因するものと示唆された。SMBに少量の水溶液を加えることによって寒天状の固形培地が得られた。Al耐性種ほど錯形成能の強い有機酸を大量に放出した。Al害程度は培地中のAl濃度と有機酸放出速度とにより決定されると推定された。
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