研究概要 |
昨年度、新潟農試から多数単離された超反復配列保有株はいずれもRSα配列がゲノム当り80〜200コピーであり、通常株のRSα配列の1〜12コピーと比較して異常に多いことを明らかにした。また、超反復配列保有株と通常株の共生時の性質は同じであったが、YM液体培地における対数期の増殖速度は超反復配列保有株において明らかに低下していた。 平成5年度は、主に二つの実験を行なった。まず、パルスフィールド電気泳動によってダイズ根粒菌超反復配列保有株と通常株におけるRSα配列の分布を検討した。ゲノムDNAを切断部位の少ないAT-richな塩基配列を認識切断する制限酵素AseI,DraI,SpeI,XbaIで消化し、パルスフィールド電気泳動によって分離した。それをナイロンメンブレンにブロットし、RSα配列をプローブとしてハイブリダイゼーションを行なった。制限酵素や菌株に応じて20-40のDNA断片が観察されたが、その内RSα配列を含んでいる断片の割合は、通常株で21%、超反復配列保有株で82%であった。この結果は、RSα配列は超反復配列保有株ゲノム上で散在状態で分布していることを強く示唆していた。また、超反復配列保有株のゲノムサイズは通常株より大きい傾向が観察された。以上の結果より、超反復配列保有株ゲノムでは、RSα配列の転移とそれに伴うゲノムの再構成が起きている可能性が考えられた。 以前、超反復配列保有株のnifハイブリダイゼーションバンドがシフトする現象が認められたので、RSα配列がnif構造遺伝子内に転移しているか否かの検討を行なったが、そのような転移の直接的な証拠は得られなかった。
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