研究概要 |
イネ黄化幼苗のミトコンドリアから亜ミトコンドリア粒子(SMP)を経てF_1-ATPaseを精製し、電気泳動的に単一にした。分子量は約380,000であった。SDS電気泳動の結果、サブユニットはα,β,γ、δ、εの5種類が確認できたが、δ'は精製のロットによって出現することもあり今後の確認が必要である。ユリの花粉および球根からもF_1-ATPaseを単一に精製し、分子量は380,000、5種類のサブユニットからなり両単子葉植物からのF_1-ATPaseはよく似ていた。精製F_1-ATPaseはATP以外にもUTG,GTP,CTPなどをその基質としたが、ホスファターゼの基質であるpNPPは基質とはならなかった。また亜鉛イオンによって活性化されることを初めて見いだした。 イネからは大量のF_1-ATPaseを調製することが困難であったので、ユリ球根から本酵素を調製し、抗体を作成した。また花粉からも本酵素を調製し、α、βサブユニットについて二次元電気泳動でその多様性を検討したところ、αサブユニットは花粉、球根いずれの場合も等電点の異なる2種類のペプチドが存在したが、βについては花粉で2種類、球根では1種類でありF_1-ATPaseの多様性が認められた。 SMPでは花粉のATPase活性が、球根のそれより10倍以上高かった。その原因を検討したところ、膜に貫入したF_0部分にあることを部分再構成F_0F_1-ATPaseなどを用いて明らかにした。 要素欠乏細胞でのF1-ATPase活性については現在検討中であるが、幾つかの元素欠乏でATPase活性が見かけ上低下していたが、その詳細については検討中である。
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