研究概要 |
A)高度好熱菌(Thermus thermophilus)酸性リン脂質合成酵素遺伝子のクローニング1)標題細菌染色体DNAをBamHlで切断し,10-40%のしょ糖密度勾配遠心分離により,85-100キロ塩基対までの長さのDNAを選択した。クローニングベクターpNS582tet14Ad(Dupont)をBamHlで切断し脱リン酸化し,ついでsallで切断し,脱リン酸化した。次にベクターアームDNAと染色体DNABamHl断片をligationした。DNAのpac部位を切断後,DNAをin vitroでP1 phage粒子にパッケージングした。このP1phageをE.coli recA/F'lacl^〓,hsdR,mcrAB(λlmm434.P1:Cre^+)に形質導入し,lox部位で組換え,増幅した染色体DNA断片を含むプラスミドを保持した菌をkanamycinを含む培地で選択分離を行なった。 B)クローニングすべき大腸菌変異株の構築と性質の解析1)上記で作成した,標題細菌染色体遺伝子ライブラリーより構築したプラスミドによる形質転換でCLおよびPGPシンターゼ活性が増大した株を選択するために,適切な大腸菌の酸性リン脂質合成欠損変異株の選択と培養条件の設定を試みた。PGなど酸性リン脂質合成欠損株として取得されているpgsA3変異株にPGを消費する系としてlppまたはcls保持プラスミドで形質転換した株の構築を試みた。CLシンターゼ遺伝子のクローニングにはCLシンターゼ遺伝子欠損株に同時にPSシンターゼの温度感受性変異を保持した株を用いた。3)標題細菌のPGPまたはCLシンターゼの比活性が大腸菌のと著しく異なることも予想されるので,モデル系として,大腸菌のPGPシンターゼ保持の低コピープラスミドpPG2による形質転換,PGPシンターゼ遺伝子pgsAをP1ファージにより酸性リン脂質合成欠損変異株pgsA3へ形質導入し,酵素活性が検出できるかどうかコロニーラジオオートグラフィーにより調べた結果,1コピーまたは低コピーのpgsA遺伝子の導入で,PGPシンターゼ活性またPG合成の回復が検出可能である事を明らかにした。
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