ステビア植物は、乾物重当り10〜15%ものステビオサイドを蓄積することが知られており、ステビオサイドは天然甘味剤として利用されている。ステビア植物が何故多量のこれらの化合物を合成し、どこに蓄積するのかについて明らかにすることが本研究の目的である。 ステビア葉抽出液中に、ステビオール、ステビオールモノシド、ステビオールビオシド、ステビオサイドに配糖化する酵素活性を検出し、ルブソシドやレバウディオシド-Aを基質とできない結果と考え合わせてステビオールからレバウディオサイドAに至る配糖化の経路(ステビオサイド生合成順序)を明らにした。ステビオールへの配糖化酵素と、ステビオールバイオサイドとステビオサイドを基質とできる配糖化酵素を精製し、それぞれの諸性質を明らかにした。またステビオサイドが液胞に蓄積されることを非水系分画法で確認した。ステビオサイド類が他の二次代謝産物と同様に液胞に蓄積されてはいるが、配糖化の酵素は葉緑体胞膜やトノプラスト胞の細胞質側に分布している可能性を示唆する結果を得ている。この事実はグルコース供与体であるUDP-グルコースの合成酵素がサイトゾルに局在するとの報告と予循しない。 ステビオールはカウレン酸から合成されると信じられている。カウレン酸は植物生長促進化合物ジベレリンの前駆体でもある。各種化合物の合成基材であるメバロン酸合成が、異常に増巾され、カウレン酸のすべてがジベレリン変換されると自殺行為となるので、ステビオールを合成するバイパスを獲得したと考えている。最終年度ではステビオール合成酵素の検出、メバロン酸経路の異常増巾を確証し、カウレン酸合成をステビア細胞内ストレスと考えている本研究の集大成となる。
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