研究課題/領域番号 |
04660090
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
小川 正 徳島大学, 医学部, 教授 (80027193)
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研究分担者 |
板東 紀子 徳島大学, 医学部, 教務員 (40116851)
木本 眞順美 徳島大学, 医学部, 助手 (40108866)
辻 英明 徳島大学, 医学部, 助教授 (20093875)
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キーワード | 食物アレルギー / アレルゲン / 大豆タンパク質 / IgE抗体 / アトピー性皮膚炎 / グリシニン / β-コングリシニン |
研究概要 |
大豆感受性のアトピー性皮膚炎患者の血清をプローブとして、イムノブロット法でスクリーニングしたIgE抗体結合性大豆タンパク質成分は約15種類を数えた。それぞれのタンパク質に対する特異抗体保有患者の検出頻度をアレルゲン性の強度の基準とすれば、20%以上の頻度を示す成分は4種類程度であり、いずれもThanhらの分画法で7S-グロブリン画分に回収された。そのうち約70%の高検出率を与える分子量約32、000のタンパク質成分を単離・精製し、Gly m Bd 30Kと命名した。タンパク化学的挙動及びN-末端アミノ酸配列の分析の結果は、本アレルゲンが34‐kDa oil‐body‐associated proteinとして報告されているタンパク質と完全に一致することを明らかにした。このものは、cDNAクローンの解析からパパインなどのシステインプロテイナーゼスーパーファミリーに属するタンパク質の一つであることが明らかにされているが、プロテイナーゼとしての活性は有していない。興味ある事実は、本アレルゲンがアトピー性皮膚炎の乳幼児が最も高率で保有するIgE抗体結合性ダニアレルゲンの一つでありシステインプロテイナーゼそのものであるDer p Iと約30%のホモロジーをもつタンパク質であるということである。また、大豆の主要貯蔵タンパク質(約45%を占める)であるβ‐コングリシニンは、相同性の高いアミノ酸配列をもつ3種のサブユニット(α'、α、β)で構成されるが、この内、α‐サブユニットにのみ特異抗体を持つ患者が約20%存在した。この事実はタンパク質の構造とアレルゲン性の関係を解析する上で重要な情報を提供するものである。しかし、もう一つの主要貯蔵タンパク質である11S‐グロブリン(グリシニン)に対するIgE抗体保有者は殆ど観察されず、そのアレルゲン性は低いと考えられた。一方、単離したGly m Bd 30Kに対する単クローン抗体をマウスを用いて作製することに成功したことにより、食品中の微量のアレルゲンの特異的な定量が可能となった。
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