Bacillus thuringiensis(Bt)の生産する結晶様タンパク質はδ-内毒素として知られてい、無公害殺虫剤、BT剤として利用されている。このBT剤の殺虫特異性を決定する因子は中腸上皮細胞刷子縁膜(BBM)に存在するリセプターと考えられる。そこで本研究はカイコのBBMよりBt var.aizawaiの生産するCryIA(a)に対するレセプターを抽出しその特性を明かにすることを目的とした。 大腸菌中にクローニングされたB.thuringiensis var.aizawaiのδ-内毒素を精製使用した。次いで、リセプターはカイコ中腸上皮細胞刷子縁膜小胞(BBMV)を作成し2%コール酸で可溶化し、活性化CryIA(a)を固定化したTresyl-Toyopearlのアフイニティーカラムに吸着溶出し、更に、DEAE-Toyopearlカラムにて精製した。次いで、^<125>I-CryIA(a)との結合力を明らかにすると共にBBMVによる阻害活性を確認した。この結合活性タンパク質をSDSゲル電気泳動にかけ^<125>I-CryIA(a)との結合力をオートラジオグラフイ-にて確認したところ180kDaと170kDaタンパク質が認められた。170kDaタンパク質は抽出精製過程を通してプロテアーゼ阻害剤混合物を使用すると出現しなくなる事より180kDaタンパク質がリセプターであると確認した。又、180kDaタンパク質はハロイシンアミノペプチターゼやアルカリフォスファターゼとは異なる事を示した。更に、コール酸可溶化BBMVのSuperdex 200ゲル〓過より180kDaタンパク質は3量体を成していることも示唆した。180kDaタンパク質のN末端は何らかのブロクを受けているので、リシルペプチターゼ処理を行いオリゴペプチドを分画し、6オリゴペプチドのN末端アミノ酸配列を決定した。これらのアミノ酸配列の検索で既知のペプチドを検出できなかつた。また、このリセプタータンパク質は糖鎖を有する事も明かとなつた。
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