研究概要 |
1)Klebsiella pneumoniae由来のプルラナーゼとα-,β-,γ-シクロデキストリン(以下CDと略す)との相互作用において、β-CDがα-,γ-CDハ比して約100倍強い結合を示す原因が酵素の活性部位近傍のアミノ酸残基の側鎖が、β-CDの環内の疎小性領域と相互作用するためではないかという仮説を支持する2通りの実験結果が得られた。すなわち第1に、3種のシクロデキストリンにトンル基またはダンンル基を共用結合させ、それらの阻害物質定数Kiを測定し、これらの原子団を結合させない場合のKiと比較した。その結果、β-CDにトンル基を結合させたときのみ、Kiの大きな増大が見られ、α-,γ-CDの場合はトンル基及びダンンル基ともにKi値に大きな変化を与えなかった、第二に、CDの環内に包接されるアダマンタンカルボン酸ナトリウムの共存下でのKiを測定し、ゲスト分子のない場合と比較したところ、β-CDの場合に阻害に対する抑制が特に顕著に認められたことである。 2)Klebsiella aerogenes W-70由来のプルラナーゼの培養條件と濃縮塩析法を改良することにより、酵素の収率が上がったので、プルラン及びβがα-、β-、γ-CDによる蛍光滴定を行った。このプルラナーゼはK.pneumoniae由来のものと速度パラメータがかなり大きく異なることが知られたが、栄光差スペクトルの形状も大きく異なり、360nm附近に顕著を極小を有することが知られた。Trp残基の存在状態が異なるものと思われる。また酵素の結晶化を行い、針状結晶を得た。 3)Klebsiella aerogenes由来のプルラナーゼの部位特異的変異酵素数種を作成したが中でもTyr559をAla及びPheに変異した酵素は活性部位の解媒活性は殆どないが、プルランに対する結合の強さが変わらなかったことから、活性発現に関する残基を考えられる。
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