メタノール資化性酵母Candida sp.N-16に存在するNAD-依存性アルコール脱水素酵素(ADH)の2つのアイソザイムのうちメタノールによって誘導される酵素(ADH M-II)について、精製標品を調製し、X線蛍光分析を行い、対照として亜鉛酵素で、Zn^<2+>の存在によって活性が阻害されない市販のパン酵母ならびにウマ肝臓由来の標品と比較検討したが、いずれの試料の間にも有為差を見いだすことができなかった。 Candida sp.N-16の他のメタノール資化性酵母、Hansenula polymorphaやPichia pastoris、のADHの炭素源によるアイソザイムの発現様式は上述のCandidaのそれとは著しく異なることが見いだされたが、細胞抽出液中の活性はいずれも低濃度のZn^<2+>によって可逆的に阻害された。 メタノールを利用することはできないが、エタノール利用性に優れた酵母Candida utilis、Debaryomyces hansenii、Hansenula anomala、Pichia membranaefacienceの細胞抽出液中のADHのポリアクリルアミドゲルの電気泳動上の活性パターンは多様であったが、細胞抽出液の総ADH活性はいずれも低濃度のZn^<2+>によって可逆的に阻害された。
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