研究概要 |
1.NPS1の生化学的機能を明らかにするため、酵母の核内における局在部位の同定を行い、本蛋白が核骨格に強固に結合して存在することを明らかにした。次にNps1蛋白のDNA結合能の有無を電気泳動後の核骨格蛋白に対するサウスウエスタン解析によって検討した結果、本蛋白を発現している細胞から調製した核骨格のサンプルにのみNps1蛋白の分子量(160K)に相当するDNA結合蛋白が検出され、本蛋白がDNA結合活性を持つことを明らかにできた。この結合活性は酵母のDNAに対してより高い親和性を示し、さらにARS1,CEN3のようなATに富む配列に強く認められた。Nps1蛋白をN末端より4つの部分にわけそれぞれグルタチオンSトランスフェラーゼとの融合蛋白として大腸菌内で生産させ、各蛋白のDNA結合能を調べた結果、Nps1蛋白のDNA結合活性はC末端側4分の1の部分に存在することを明らかにできた。 2.Nps1蛋白の精製のため、核骨格からの本蛋白の溶出方法を検討し0.1M MgCl_2、7M尿素を含むバッファーで70%以上可溶化できることを見出した。さらに、本蛋白を大量調製するため、バキュロウィルス/昆虫細胞の系による発現を試み、これに成功した。また、この系を用いて産製されたNps1蛋白も酵母の場合と同様の条件で可溶化できることが解った。 3.NPS1の周辺で機能する遺伝子を同定するためNPS1との同時高発現によって生育阻害をもたらす遺伝子の検索を行なった。この結果、35の候補遺伝子を得、現在解析中である。
|