研究概要 |
種々の構造を有するalkylpolyphenolの配糖体を合成し,マクロファージによる活性酸素産生に及ぼす影響を調べ,抗炎症作用との比較検討をおこなった。1・昨年度に引き続きalkylpolyphenol xylose配糖体の合成を行なった。これらの化合物の合成過程でのキーステップであった配糖体化反応を検討し,収率50%以上に改善した。またこの反応では,アグリコンと糖の結合が,α,β2種のものが1:1で得られた。この異性体はクロマトグラフィーで分離精製した。2・マウスの耳テストを用い合成化合物の炎症抑制作用を調べたところ,octylphenol xylose配糖体,octylhydroquinone xylose配糖体に強い抑制活性を認めた。3・マウスの腹腔マクロファージによる活性酸素の産生に及ぼす合成化合物の効果を改良NBT法を用い調べた。octylcatechol xylose配糖体,octylhydroquinone xylose配糖体,octylphenol xylose配糖体は50μg/mlで完全に活性酸素産生を抑制した。4・抗酸化試験により,ラジカルと化合物の反応性を検討した。decylcatechol xylose配糖体は強い酸化抑制活性を示した。この事から,alkylpolyphenol xylose配糖体が活性酸素と直接反応している可能性が生まれた。5・炎症の抑制作用,活性酸素産生の抑制作用と構造との相関性を検討したところ,活性発現には,xylose部分の存在が活性に必須であることが明らかとなった。alkylcatechol xylose配糖体ではalkyl側鎖の炭素数8個のものが最も活性が高く,この程度の脂溶性基がベンゼン環に結合していることが活性発現に最適である。また糖とアグリコンの結合が,α結合のタイプの化合物のほうがβ体より活性が強いことを見出した。
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