研究概要 |
(1)線虫未感染アカマツ葉部、木部精油から低沸点モノテルペン炭化水素画分(マスク活性なし)を減圧蒸留で除き、残留油を得た。 (2)残留油から含酸素テルペン画分(マスク活性なし。葉部由来の画分は忌避活性を示す。木部由来のものに誘引物質(+)‐juniperol,(+)‐pimaralが含まれる。)を逆相HPLCカラム LiChroprep RP 18(Me OH/H_2O 及び MeOH)で除き、高沸点炭化水素画分を得た。 (3)高沸点炭化水素画分をさらにシリカゲルTLCで分画し、マスク活性画分(n‐ぺンタン, Rf0.35‐0.56)を得た。 (4)この画分から GC 10%PEG 20M ガラスカラムで活性粗物質を分取した。 (5)室内検定には6.8×2.6×3.8‐m chamber type及び忌避・誘引・マスクいずれの活性も判定可能なように改良した200×9×9‐cm walkway type olfactometersを用いた。 (得られた知見) (1)得られた粗物質(純度約95%)は誘引活性画分(木部含酸素テルペン画分)の活性を80%マスクする。2種の誘引物質それぞれにたいしても、混合物にたいしても同様に働く(雌を用いた実験)。 (2)この粗物質は行動を停止させ、静止させる作用を示す。忌避活性なし。 (3)マスク活性物質は葉部にも木部にも存在する。 (4)主成分は不安定な物質であり、窒素下、暗所、-20℃の n‐ペンタン中で数ヶ月で消失する。但し精油中では比較的安定。他の単離法を検討中。
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