研究概要 |
(1)線虫未感染アカマツ葉部と木部の精油から減圧蒸留で低沸点モノテルペン炭化水素を除き,それぞれの残留油を得た。 (2)残留油をシリカゲルTLCで分画し,マスク活性画分を得た。 (3)木部マスク活性画分からGCでマスク粗物質X_Tを純度95.1%で,葉部画分からマスク粗物質X_Fを純度98.5%で分離し,n-ペンタタン溶液の状態で-20℃,N_2下,暗所でいったん保存した。 (4)逆相HPLCでマスク物質の精製を試みた時,物質X_TもX_Fもほとんど消失していた。HPLCによる単離を検討したが,この時は(3)をうわまわる成果は得られなかった。 (5)生物検定は7月下旬〜8月中旬にしか行えないので,やむなく(3)によって,粗物質X_T,X_Fを得た。 (6)雌を用いて室内検定(飛翔・歩行による正負の移動,その他の行動観察)を行った結果,粗物質X_T,X_Fは,定位行動を停止・静止させ,結果的に誘引物質の活性をマスクすることを確認した。 (7)改めてHPLCでマスク物質の精製を試みた結果,減圧蒸留油から3段階でマスク物質を単離することができた。数十倍にスケールを上げることも可能となった。
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