研究概要 |
1.エタノールをエネルギー源として利用する酵母のスクリーニング 好気的条件下,エタノールの酸化エネルギーに基づくNAD(P)Hの再生反応と共役する還元系が酵母の中で分布している様子を明らかにするため30種の酵母について培養,集菌を行い,それを用いて種々のエネルギー源存在下でアセト酢酸エチルおよびアセトールの不斉還元を行った。その結果,Saccharomyces属,Candida属,およびHansenula属の酵母の多くでグルコースとほぼ同等にエタノールが還元のエネルギー源となり得ることが明らかになった。また,NDA(P)H再生系がエタノールから酢酸までと酢酸から炭酸ガスまでの2段階に区別して考えることができることが明らかになり,それらのことから酵母を数種類に分類することができた。 2.酵母の培養条件とNAD(P)H再生反応 Saccharomyces cerevisiae(HUT 7099)について,振盪法(内容積2リッター)およびジャーファーメンター(内容積5リッター)を用い種々の酵素供給条件下で培養を行い,得られた菌体について1.と同様にアセト酢酸エチルおよびアセトールの不斉還元を行った。その結果,より嫌気的条件下で培養した酵母はエタノールおよび酢酸を補酵素再生のエネルギー源とする能力が低いことが明らかになった。その理由を明らかにするために再生反応に関わる酵素活性の測定を行った結果,アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性に有意な差が見られたが,さらに詳しい検討を予定である。
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