炎天下における下刈作業現場において、メモリ式温湿度データ収録装置を用いて、発汗量、皮膚温などの精細なデータを収集した。その結果、次の知見が得られた。 (1)腹部、胸部の発汗、温度変化は個人差が大きく、それぞれの特徴がみられる。 (2)背部は温度、湿度ともに高くなる傾向があり、背部の換気を良くするための工夫が必要である。 (3)体熱発散を促進し、透気性にすぐれた新素材を用いる必要がある。 (4)野外作業における衣内気象は、作業による生理的変化の他に、気流、日射の影響が大きい。今後、本研究を進めていく上で、外的気象に対しても総合的に検討していく必要がある。 以上の成果は、今後の作業服設計のための基礎資料となるものである。 また、北欧の既製冬用作業服の寒冷作業地での保温機能については、大腿部の被服の設計が重要であることが確かめられた。冬用作業服については、林業作業の内容、重軽度によって、設計を変えることが望ましい。北欧の各種作業服の素材の物性についても解析を行い、はっ水性が非常に高いことが明らかになった。 林業作業者を対象に、森林内での目立つ色、ポケットの機能、携帯品等についてアンケート調査を行い、今後の作業服設計の指針を得た。
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