本年度当初の研究実施計画は、次の1.〜4.であったが、1.については風害の調査結果も含めて現在解析中であり、また4.にはいくつかの難しい問題があることが分かったため、次年度以降に改めて検討をすることにしている。従ってここでは、2.と3.の研究で明らかになったことを中心に述べる。 1.雪害の調査および資料の収集 2.樹冠を構成する枝の強度的性質の測定と解析 3.樹冠形状の測定 4.画像解析に基づく樹冠形状の計測法の検討 上記2.と3.関連の研究実績 立木の生枝の弾性係数を非破壊的に測定する方法を開発し、スギ、ヒノキ、カラマツの3樹種の枝に適用して、種々の測定・解析を実施した。 3樹種共に生枝の弾性は、春、夏、秋の3季節はそれほどの変化はないが、厳冬季には著しい硬化が見られた。この冬季に枝が硬化することは、降雪時に枝が下垂することなく多量の冠雪を保持することであり、個々の枝、あるいは立木全体の折損や屈曲を引き起こす原因の一つになると考えられる。現に柔軟性が非常に高いため鉛直荷重によっては通常は折れることがないスギの生枝も、冬季は折損の可能性があることが計算から示された。そのほか枝の着生部位や太さ、長さなど各因子との関係も調べた。 また樹冠を構成する個々の枝の配置と形状を調べて計算機に入力し、雪や風の負荷が枝を通じて立木全体に及ぼす影響が積算できるように準備を進めている。
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