近年、わが国でも体育館をはじめとして大型木造構造物が普及しはじめ、地震や台風の時には集成材部材や接合部に大きな荷重が作用することが多くなり、破壊の危険性も増しているが、実際に荷重を受けている集成材部材の破壊過程や亀裂伝播挙動はほとんど解明されていない。そこで、上記の研究課題を遂行することとなった。この研究は平成4年度から平成6年度までの研究で、前年度の研究成果をもとに本年度は下記の研究を行った。 1.接着層の数が複数層の場合に、接着層の数が繰り返し荷重試験に及ぼす効果の解明 前年度の研究により、年輪のない木材における疲労破壊過程の第二部分(き裂伝播定常部分)に接着層をおくとき、破壊強度が最大に増加することが明らかになっているので、二つの層の接着層の位置の郊果について検討した。その結果、接着層の位置が、第1層が切り欠き先端より約12パーセント、第2層目が約25パーセントの位置にあるとき繰り返し荷重に対する強度が大きくなることを明らかにした。 2.亀裂伝播測定手法を用いた複数の接着層が亀裂の進行に与える影響の解明 前記の強度の増加を亀裂伝播挙動の測定から解明した。詳細な亀裂伝播挙動の測定から、複数の接着層の場合も、亀裂の伝播の停滞は、接着層及び接着層の前後で生じていることが明らかになった。 来年度は主に接着剤の種類を変えて検討を深める予定である。 これらの知見は、平成6年4月に開催される第44回日本木材学会大会において発表する予定である。
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