| 研究概要 |
木質硬質セメントボードは耐久性、耐火性に優れ乾式外装用壁材として年率10%でその需要が伸びているが、重いという欠点を有している。これを解決するために、火山噴出物の焼成独立発泡体であるシラスバルーンを添加配合すると同時にその特性を利用して諸性質の改良を図ることを試みた。セメント/木質比(以下木質比):2.5,2.0シラスバルーン/セメント比(以下バルーン比):0〜0.5、目標比重:0.6〜1.2、ボードサイズ:35cm×35cm、15mm厚とし、シラスバルーン添加量と成板の可否、圧締・養生条件と曲げ強さ、硬化促進剤である塩化カルシウムの添加硬化、作成ボードの諸性能との関連を検討した。
結果を要約すると以下の通りである。
(1)木質比:2.5の高比重、高バルーン比条件で目標厚さを超えてしまい一部成板できなかった。
(2)効果促進剤(塩化カルシウム)を使用し、高温(50℃)・高湿(95%r.h.)により養生期間(24h)が著しく短縮できた。
(3)バルーンの添加によりボードの表面性状は著しく改善され、特に低比重ボードで顕著であった。
(4)比重0.8以上、バルーン比0.1、0.2低バルーン比条件で曲げ性能及び内部結合力の向上効果が認められ、比重:0.8でもJASの基準値を満足するボードが得られた。しかし、それ以上のバルーン比ではかえって低下した。
(2)比重によらずバルーン比:0.1以上で吸水厚さ膨張率は大きく低下し、高比重のものほど顕著であった。
(3)比重1.2のボードではバルーン比0.3、比重1.0、0.8では0.2から熱伝導率低下効果が認められるが、その低下は5〜10%であった。
(4)作成供試したボードはすべてJIS準不燃の規格を満たした。
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