ホフマン反応を利用した陽荷電膜の効率的な調製法と膜性状を検討し、以下のことが明らかとなった。 1 反応の第1段階となる再生セルロースのシアノエチル化(CE化)はNaOH濃度0.1mol/l、温度30〜50℃で容易に進行し、最高置換度0.15のCE化膜が得られた。しかしCE化膜の強度は置換度の増加にほぼ比例して低下した。置換度が0.02以内であれば膜の強度低下を5%以内に抑えることができる。 2 CE化膜の過酸化水素によるカルバモイルエチル化(CB化)は、置換度0.02のCE化膜を用いた場合、NaOH濃度0.1mol/l、H_2O_2濃度0.1mol/l、室温でほぼ100%進行した。 3 CB化膜のN-C1化反応はNaOH濃度0.05mol/lで速やかに進行し、0℃で行った場合約4時間、20℃で行った場合約30分でほぼ100%の反応率が得られた。 4 N-Cl化膜のホフマン分解反応はNaOH濃度1.0mol/l、温度50〜70℃で容易に進行し、反応温度の高いほどアミノ基含量の高い陽荷電膜が得られた。 5 N-Cl化膜と1級アミノ化合物(エチレンジアミン、ポリアリルアミン)との反応は、微アルカリ性下、反応温度30〜40℃の温和な条件で進行した。 6 これらホフマン反応を利用した陽荷電膜(1級アミノ基含有)は補体活性抑制能を有していた。
|