研究課題/領域番号 |
04660188
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
林産学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
今村 祐嗣 京都大学, 木質科学研究所, 助教授 (70151686)
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研究分担者 |
吉村 剛 京都大学, 木質科学研究所, 助手 (40230809)
藤井 義久 京都大学, 農学部, 助手 (10173402)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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キーワード | アコースティック / AE / シロアリ / キクイムシ / スギカミキリ / ヒラタキクイムシ / 非破壊検査 / リモート・センシング |
研究概要 |
木材加害昆虫の摂食行動がアコースティック・エミッション(AE)の発生とリアルタイムに対応していることが明確になったので、この原理を用いてその行動様式を追跡し、解析した。すなわち、立木の樹皮下を加害するスギカミキリ、乾材害虫であるヒラタキクイムシ、それにシロアリのいずれについても、発生AEをモニタリングすることによって摂食行動を捕捉することに成功した。また、ファイバー照明装置の付いたCCDマイクロカメラを用いて、昆虫口器の動作による木材の微小破壊の発生状況を、食害によって木材から発生するAEとを対応させて観察することができた。 シロアリについて明らかになった成果は次の通りである。 (1)AE事象数と木材の食下量とはほぼ対応したが、加害される木材の密度が高い程発生する事象数は少なかった。(2)試験開始後、数時間〜数十時間でAE事象数は急増し、その後一定値まで低下するが、数日経過後再び上昇する。その後、このリズムを繰り返した。(3)兵蟻を全く移入しない場合、移入区より明らかにAE事象数は少なく、これに対応して木材の食下量も小さかった。また、兵蟻の割合が標準値より多い場合においても、AE事象数は少なくなったが、経過日数につれて逆転し、この傾向は野外で採取したシロアリで著しかった。試験途中で兵蟻を投入した場合は、発生するAE事象数に明らかな影響は認められなかった。(4)周囲の温度によって事象数は変化し、基準温度より低下するにつれ減少し、12℃では発生は停止した。一方、基準温度より上昇させると32℃付近までは増加する場合も認められるが、その後は一般的に減少し38℃を越えると再び停止した。その後は、基準温度付近にまで下げてもAEは再び発生しなかった。(5)目が退化しているといわれているイエシロアリ食蟻および兵蟻であるが、その食害活動は明らかに照明光によって影響を受け、一旦停止ないし低下する。しかし、照明下であっても食害活動は再び回復した。 今後、この手法を応用して木材を加害する昆虫の生態をより明らかにするとともに、環境と共存した防除システムの確立を進めていきたい。
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