研究概要 |
ウシケノリ,Bangia atropurpurea,野生株とアサクサノリ,Parphyratenera,緑色変異株からプロトプラストを単離し、ポリエチレングリコール(PEG)を用いて、プロトプラスト融合をおこなった。すなわち、100ml容ビーカーに入れた30mlのパパイン液(5%パパインと0.5Mマンニトールを含む50mM MES緩衝液、pH7.5)に各藻の葉長1〜3cmの葉状体(1〜5g)を浸し、22℃で15分間振とうした。葉状体を0.5Mマンニトールを含む25mM MES緩衝液、pH7.5で5回洗浄後、メスで数mm片に切断した。次に、切断片50〜100mgを20ml容三角フラスコに分注した5ml細胞壁溶解酵素(各1unitずつのポルフィラナーゼ、マンナナーゼ、ならびにキシラナーゼそれに0.5Mマンニトールを含むMES緩衝液、pH7.5)に懸濁し、22℃で90分間振とうした。懸濁液は40μmのナイロンネットでろ別し、ネット通過液を2.000r.p.m.で5分間遠心分離し、プロトプラストを得た。 両藻のプロトプラスト混合液にPEGを加えて後、50mM CaCl_2と0.5Mマンニトールを含むASP_<12>(NTA)培地を徐々に加えて、希釈して行くと、付着していたプロトプラストは融合し、球状の融合プロトプラストになった。PEG処理して得られた融合していないプロトプラスト、および多数の同種または異種融合プロトプラストの混合液をASP_<12>(NTA)培地中で、16〜18℃、照度3,000Lx、9時間明/15時間暗で培養した。数日後に細胞壁を再生し、細胞分裂とともに仮根の形成がみられた。約5週間培養すると数mmの褐色で毛状または緑色で偏平状の不規則な形のカルスまたは正常な形の幼芽に生長した。また、両藻のプロトプラストの細胞膜の一部が融合した部分融合体が観察され、これは付着した状態で数百μmの大きさにまで生長した。
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