研究課題/領域番号 |
04660204
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
水産学一般
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
古谷 研 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (30143548)
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研究分担者 |
田口 和典 三重大学, 生物資源学部, 助手 (30226972)
小達 恒夫 三重大学, 生物資源学部, 助手 (60224250)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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キーワード | 海山 / 西部太平洋 / プランクトン / 低次生物生産 / 湧昇 / 基礎生産 / 栄養塩 / クロロフィルa |
研究概要 |
1993年は6月に駒橋第二海山周辺地域において三重大学練習船「勢水丸」航海により10日間の観測を行い、栄養塩の動態、植物プランクトンの分布構造を観測した。とくに植食者による消費を重点的に解析した。また、現場植物プランクトン各種の増殖速度を核内DNAの経時変動から求めるためのDNA量測定法を確立した。 両年度とも海山頂上で等温線の上昇が確認された。それに伴い硝酸塩の等濃度線が持ち上がり、1μM層が有光層内に露出し、0-200m水柱の硝酸塩存在量は海山上で周辺域よりも最大で約1.6倍高かった。N/P比は有光層下部から上部に向かって減少し、リンに対して優先的な硝酸塩の取り込みが認められた。モデル計算では、渦拡散では上記の硝酸塩分布のために2週間以上の時間が必要であるのに対して、この海域では数日の時間スケールで水塊構造や流れ場が変動することから、有光層への栄養塩供給には渦拡散よりも流れの非定常性が相対的に重要であることが明らかとなった。この栄養塩供給の結果として海山上ではクロロフィルaが周辺海域よりも有意に高い。クロロフィルaの増加は有光層底部で最も顕著であり、16μm以上の大型藻の増加が認められた。 有光層内のネット動物プランクトン湿重量は80〜140mgm^<-3>(平均±1SDは100±15)と四国海盆での変動範囲内であった。ネット採集層でのクロロフィルa平均濃度は昼に高く夜に低かった(0.12〜0.22μgL^<-1>:0.16±0.03)。一方、消化管色素は夜間に高く、また、消化管色素のクロロフィルa/(クロロフィルa+フェオ色素)比は、15時頃に最大、21時頃に最低と水柱内クロロフィルa濃度と逆相関を示し、海山上での植食者の摂餌が明らかとなった。現在、摂餌速度の定量的把握と胃内容物調査を中心にさらに試料およびデータの解析を進めている。
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