研究概要 |
昨年度の調査では,ウダラ川マングローブ域(水路)における水位,水温・塩分,出現動物プランクトンの晩夏から秋季の概要を推定した.また,この期間の主要魚種は,アマミイシモチ,コモチサヨリ,コボラ,ツムギハゼの4種であり,これらの消化管内容物から,摂餌場所を推定した. 本年度は,昨年度の調査の補足として,8月12〜13日(小潮)と18〜19日(大潮)に昨年度と同じ水域(水路)と河口で調査を実施した.調査項目,方法は昨年と同様である。観測の結果,水路では干潮時には小潮であっても干出することがあるのに対し,河口では大潮であっても干出することはなかった.2か所とも水温は約28〜35℃,塩分は約30〜34の範囲で変化した.動物プランクトン中には,終生プランクトンの他にカニ類や異尾類の幼生が小潮時にも出現した.採集魚類の個体数・種類数は、大潮のほうが小潮よりも多く,昼間よりも夜間のほうが多かった.水路では合計9種142個体,河口では合計9種31個体が採集された.個体数の多い種は,河口ではミナミヒメハゼ(12個体)とヤクシマイワシ(7個体),水路ではツムギハゼ(41個体),コモチサヨリ(37個体),アマミイシモチ(21個体),コボラ(13個体)であった.消化管内容物は,昨年と同じ4種について調べた.その結果,4種とも昨年と同様の生物を食べていることが明かであり,この他に底生生物の浮遊幼生を食べていた.8月には,これらの浮遊幼生は小潮であっても動物プランクトンとして出現することから,魚類の重要な餌料を構成すると考えられる.また,これらの幼生の出現時刻を考慮すると,4種の魚類は夜間の満潮過ぎに摂餌すると推定される.
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