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1993 年度 実績報告書

クロマトグラフィーによる魚油グリセロ脂質の光学分割

研究課題

研究課題/領域番号 04660217
研究機関北海道大学

研究代表者

板橋 豊  北海道大学, 水産学部, 助教授 (60142709)

研究分担者 宮下 和夫  北海道大学, 水産学部, 助手 (10182015)
太田 亨  北海道大学, 水産学部, 教授 (20001612)
キーワード高度不飽和脂肪酸 / ジアシルグリセロール / ホスファチジルコリン / トリアシルグリセロール / グリニヤール分解 / 光学分割 / 高速液体クロマトグラフィー / ガスクロマトグラフィー
研究概要

イコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)など薬効・薬理作用のある高度不飽和脂酸を含む魚油グリセロ脂質(骨格としてのジアシルグリセロール)の光学異性体分離法を確立するために本研究を計画した。
昨年度は、高度不飽和酸(リノール酸,リノレン酸,アラキドン酸,EPA,DHA)含有ジアシルグリセロール(DG)のラセミ体を微生物リパーゼを用いて合成し、これを光学活性カラムを装備したHPLC(キラル相HPLC)により光学分割する方法を確立した。本年度はこの方法を食用となる代表的な魚貝類(サンマ、カツオ、マグロ、イワシ、サケ、サバ、ウニ、ホタテ)のグリセロ脂質(リン脂質およびトリアシルグリセロール構成DG)に適用し、高度不飽和酸を含む光学異性体混合物の分離を検討した。はじめに、上記海産動物油よりトリアシルグリセロール(TG)とホスファチジルコリン(PC)を分離し、TGからはグリニヤール分解により、PCからは蛇毒由来ホスホリパーゼCを用いてそれぞれsn-1,2(2,3)-DGを調整した。これを3,5-ジニトロフェニルウレタン誘導体に変換したのち、キラルカラムを用いてさまざまな条件下でHPLC分析した結果、カツオ、マグロ、イワシ、ホタテのTGについては、sn-1,2-とsn-2,3-DGのエナンチオマー混合物がほぼ完全に分離され、光学純度ほぼ100%の各エナンチオマーを分画することができた。PCについてはsn-1,2-エナンチオマーのみが容易に得られた。これにGLCを併用してさらに詳細なエナンチオマー組成を求めることが可能であることを明らかにした。長鎖モノエン酸を多く含むサンマ、サケ、ウニのTG構成DGについても概ね良好なエナンチオマー分離が得られた。以上の結果より、高度不飽和酸含有魚油グリセロ脂質の光学分割法として簡便で精度の高いキラル相HPLC法を確立した。この方法は脂質加水分解酵素リパーゼの立体選択性決定にも有用であることを示した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Yutaka Itabashi: "Chiral phase LC/MS of the 3,5-dinitrophenylurethanes of natural diacylglycerols" Proceedings of the Kyoto'92 international conference on biological mass spectrometry. 340-341 (1992)

  • [文献書誌] 板橋 豊: "キラルHPLC/極性キャピラリーGCによるジアシルグリセロールエナンチオマーの分子種分析" 生体成分の分析化学シンポジウム. 10. 77-80 (1992)

  • [文献書誌] 板橋 豊: "キラル相HPLCによる高度不飽和酸含有ジアシルグリセロールの光学分割" クロマトグラフィー. 14. 172-173 (1993)

  • [文献書誌] 板橋 豊: "キラル相HPLCによるリパーゼの位置特異性の決定" クロマトグラフィー. 14. 170-171 (1993)

  • [文献書誌] 板橋 豊: "豚すい臓リパーゼの立体特異性発現について" 脂質生化学研究. 35. 427-430 (1993)

  • [文献書誌] Yutaka Itabashi: "Lipase activity of scallop hepatopancreas" Fisheries Science. (in press). (1994)

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公開日: 1995-02-08   更新日: 2016-04-21  

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