研究概要 |
高度不飽和脂肪酸をもつリン脂質の生理機能を明らかにするためには所望の分子種を合成する方法を確立する必要がある.本研究では,ブタ膵臓ホスホリパーゼA_2により高度不飽和脂肪酸を大豆由来リゾ型リン脂質のsn-2位に特異的に導入する方法について検討した.その結果, (] SY.encircled1. [)基質の分散媒としてグリセロールを用いることにより反応系を均一化し,リゾホスファチジルコリンおよび遊離型の高度不飽和脂肪酸を基質としてホスホリパーゼA_2のエステル合成作用により,sn-2位に高度不飽和脂肪酸を特異的に含むホスファチジルコリンの合成に成功した。 (] SY.encircled2. [)リゾホスファチジルコリンをリゾホスファチジルエタノールアミンに置き換え,同様の方法によってsn-2位に高度不飽和脂肪酸を選択的に含むホスファチジルエタノールアミンの合成にも成功した. (] SY.encircled3. [)上記(] SY.encircled1. [)の反応はカルシウム依存性であるが,(] SY.encircled2. [)の反応はカルシウムの有無に関わらず進行することを明らかにできた. (] SY.encircled4. [)血清存在下において,上記の反応で合成した高度不飽和脂肪酸含有ホスファチジルコリンを用いて細胞を前処理することにより,レチノイン酸の細胞分化誘導作用に対して促進効果のあることを明らかにできた.
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